いよいよ1年が過ぎようとしています。年長の皆さんは1日から2月までのすみれの部屋に引越しをして過ごす移行期が始まります。卒園式があったり、年度末のお休みもあるので1ヶ月もありません。しかし、一人ひとりのために用意された机と椅子は特別で、4月からの小学校での生活にウキウキする毎日であってほしいと願っています。
子どもたちの体の成長や心の発達などを見ていると、さも階段があるかのように右肩上がりに上がっていきます。それは、できなかったことができるようになったり、言えなかったことが言えるようになったり、様々な表現なのですが、大人を驚かしてくれたり、喜ばせてくれます。
日本の教育に「幼稚園」が登場したのは明治9年(1876)。関信三が園長となりフレーベルの精神を基に誕生したのですが、結果として3歳未満児を含めての乳幼児教育という視点でとらえ始められたのは平成28年(2016)です。したがって、140年間、就学前の乳幼児期の教育は3歳からという視点でこどもをとらえ、小学校に入学するための準備教育期間のようにカリキュラムされてきました。
私たち日本人の「幼児教育は3歳から」という教育観はもはや、血となり肉になっています。いまさらどうなるものでもないと居直る向きもあるのですが、脳の仕組みや体のシステムなど、140年間で解ってきたことはたくさんあります。結果、世界中で非認知能力の再認識をはじめとする新しい知見で乳幼児教育が見直され、遅ればせながら日本も乳児期を含めた教育プランを示しました。
以前、私が岐阜県の保育団体で「0歳からの教育」というキャッチコピーを使った時には、0歳児に教育とはどういうことか、と県内の数園からクレームが来ました。 0歳にはやはり養育という言葉がふさわしいとのことでした。教育を「指導」という言葉でしか理解してこなかった概念では、確かに言葉も十分に話せない0歳児に、どのように指導するのかという課題ができてしまいます。
私は0歳から指導しましょうと呼びかけたのではありません。赤ちゃんと会話はできませんが対話することはできますね。小さな赤ちゃんも大人が心を開いて赤ちゃんのお顔を見て「どうしたの?」と微笑むと、赤ちやんも微笑み返してくれます。笑顔にお互いを励ます力があることをお互いに学ぶのです。