2018年7月 森のたより
夏日が続き子どもたちは外遊びに夢中です。子どもは「外で自由にあそぶ」のが一番です。見ていると全身の筋肉をまんべんなく使い、とてもバランスがよいのです。友達を追いかける鬼ごっこにボールが乱入してサッカー遊びになります。ボールを追いかける体がいつの間にdobeeハウスに駆け上がっています。いわば縦横無尽に遊び回るわけです。そこに体力向上の目的とか筋力アップの計画とかはありません。無目的で有り、成果は何も期待されていないし、自ら期待しません。
でも外で遊べばそれで良いのでしょうか。下の表は山梨大学の中村和彦先生が以前に報告されました。卓球の張本さんとか若いアスリートガ活躍する場面を多く聞き見ますから、子どもの体力は右肩上がりかと思いきや、そうではないようです。
「ロコモティブシンドローム」といえば運動器の障害のために、「立つ」「歩く」といった移動機能の低下をきたした状態を言うのですから。高齢者の健康問題を連想してしまうのですが、実は10年ほど前からこどもにその症状が見受けられると報告されているのです。具体的には、片脚でしっかり立てない、手が真っすぐ挙がらない、しゃがみ込むとふらつく、物を投げる動作ができない、雑巾が硬く絞れない等などの症状です。NHK等でも何度も特集が組まれてきたのでご覧になった方も多いと思います。
もちろん運動をしないというのは論外ですが、運動をしていても効率が悪い運動であったり、発育にそぐわない運動は問題です。まもなく夏休みになるとラジオ体操が始まります。早起きの習慣を夏休みの間も維持するという効果が期待されるのであって、あのように跳んだりはねたり反動する勢いを多用する体操は幼児には益は少ないと言わざるを得ません。
どうして体力が落ちるのかといえば、電化やIT化など便利な生活が、考えることや動くことという人間が努力して維持し続けなければいけない能力を使わない環境が子どもの育ちにも影響しているのです。
いずれにしても運動指導の方法は新しい発想が必要なのです。微細運動から大きく体を動かす運動までを効率よくまんべんなく、そして子どもの発育にしっかり応じる運動指導が必要です。
毎日体操はそのような状況を案じたハンガリーのルイザ女史によって考案された運動指導なのです。そこにはすべき運動とすべきではない運動が紹介され、何よりも子どもの発育に即したプログラムがあるのです。体育もよく遊び、良く学び、なのです。