2020年10月 森のたより
すっかり秋になりましたね。気持ちの良い日が続き、どの子も外遊びに夢中です。
先日の教育保育見学会には多くの皆様にお越しいただきありがとうございました。
その際には毎日体操もご覧いただきました。毎日体操は子どもたちの細やかな身体能力とか体の機能、あるいはボディーイメージや空間認知を育むというような目的を持っています。
さて、子どもが体力をつけるにはどのようなことが好ましいのでしょう。と言っても、有酸素運動を心がけて、筋肉に負荷をかけてプロテインを飲むというようなことではありませんね。
以前、と言うよりかなり昔、園に正課体育を指導しますという体育教室のお兄さんに来ていただいていた頃がありました。体育となると、体の大きさや体力そのものに差がありすぎるのでクラス別というわけにはいかず、年齢別に「指導」をお願いしました。なるほど一年間の運動カリキュラムを立てて、なかなか面白そうでした。
でも、実際の指導風景を見ていると、いろいろな疑問を感じました。例えば鉄棒のカリキュラムでは30人の子に対して指導しますが、園にあるのは120㌢幅のものが二個あるだけ。ツバメになって捕まりましょうと言っても、せいぜい4人が捕まることができるだけ。足をかければ2人が使い、後の28人は見ているだけです。ずっと待ってて、鉄棒に捕まったらサッサと終わって後はみんなの終わるのを待ちます。待つことの練習はいっぱいできるけど鉄棒の練習はほんの少しでした。
そんなこんなでお断りしてしまったのですが、山梨大学の体育教授のレポートで園庭での自由あそびが一番という報告がありました。確かにあそびの種類を用意することで、ただ走り回るだけでなく、それぞれが工夫して遊びます。運動量もかなりになります。
同じ園庭で遊ぶにも大人が指示したことを遊ぶということもあります。指示通りすることも大切でしょうが、その場合は起こりうる困難がすでに予測され、整理されていることがほとんどです。トラブルが生じても、解決の方向はあらかじめ決められているので善悪もはっきりしています。基本的に指示に従うものが善であり、逆らうものが悪なのです。
自分で決めて遊ぶことには、予測できない様々な出来事が起こります。プロセスそのものが本人の能力を超えている場合もあります。そんなときには、どこまでハードルを下げるのか、諦めて他のあそびを探すか決めなければなりません。又、他の友達とのトラブルもつきものです。人間関係を調整して交渉し、暴力で無く話し合いで解決することも求められます。
泣いて悔しがり、かみついたり、たたき合ったりしていた子もそのような葛藤を繰り返す中でよりよい自分の生き方を模索していきます。双方が善を主張し合い、互いを非難するなかで解決がつかないと仲間や近くの大人がジャッジします。
先日も外遊びの時に4歳5歳児の女児が数人玄関に座って何かを話しています。どんなことを話してるのと聞いたらその中の二人がなかなか上手く遊べなく、みんなで考えようと集まっていると言うことでした。しばらくするとその子たちの姿を園庭で見ることができました。どのように解決したのでしょう。
秋の森フェスを迎える子どもたちも話し合う毎日が続いています。まだプログラムができていないのが驚きなのですが、当日の朝には皆さんにお届けしますからご安心ください。
非認知能力は点数化することができない能力とお伝えしました。いろいろな育ちがありますね。