お知らせ・保育室から

2019年12月 森のたより

森のたより2019.12.01

「逆さかくれんぼ」というあそびをご存知でしょうか。かくれんぼはオニが隠れたみんなを探すゲームです。これが逆さになるのですからオニがかくれます。みんなはオニを探し、見つけたら静かにオニの後ろに付きます。しだいにオニが見つかり、みんなが消えていくというゲームです。オニと一緒に隠れているドキドキ感は独特の楽しみを作ります。では、始めのオニはどのように決めるかといえば、「オニギメ」をしなくてはなりません。ジャンケンで決めれば簡単ですね。わらべ歌にはオニギメの歌がたくさんあります。
先日以上児のクラス担任から興味深い報告を受けました。こどもたちが新しい工夫をしているというのです。
すなわち、オニギメの方法なのですが、わらべ歌を歌いながら、オニになる子を決めるのでなく、オニにならない子を決めて最後に残った子がオニになるという決め方なのです。
「♪ オニギメ ♪ オニギメ オニジャナイヨ ♪」とうたうのです。こんなことは今まで読んだ本にも出てなくて、大人が提案したり、教えたりしたものでもありません。こどもたちの工夫で生み出されたのです。
こどもたちが、遊びをより楽しくしようと工夫したのです。オニになりたくない気持ちと、オニぎめまでもを遊びにしてしまおうという工夫です。生まれるまでにこどもたち同士でどのような提案があり、どのような話し合いがあり、どのように決定されたのでしょう。本当に頼もしくなりますね。

このような工夫が生み出されるにはどのような環境が提供されていたかと言えば、自由に遊び込める空間と時間があったからです。
ながらこどもの森の園庭や保育室は国が定める基準にはもちろん満たしているのですが、決して広い空間ではありません。自分の思うように動こうと思えば誰かと接触したり、自分の空間に誰かが入ってきたりして遊びが中断されることもあります。小競り合いやトラブルも生まれます。
大人にはトラブルはない方が良いのだと思うし、小競り合いは避けたいと思います。結果、環境そのものを代えたり、或いは自分だけ抜け出てしまおうと思ってしまうのですが、子どもの世界ではそうではありません。
避けたいと思い無くそうと思っても思うようにならない。その世界を工夫して生きようとします。実はそのような活動も非認知能力をそだてるのです。
トラブルや小競り合いは予測できません。環境そのものを代えることもできません。予測はできないけど準備することはできますし、より快適な環境をつくろうと工夫することはできます。「必要は発明の母」とかいいますが、「必要」を感じる感性の育ちが大切なのです。
レイチェル・カーソンの著書とされる「センスオブワンダー」という本は、随分昔に出版されたのですが、本の帯には「美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見はる感性(The Sense of Wonder)を育むために、子どもと一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせる」と翻訳した上遠恵子さんの言葉があります。
たとえば「美しいもの」とはどういうものでしょう。誰でも、その美しさにあっと足を止めるようなことがありますね。小さな子が園庭に咲く花を摘むのも美しいと感じるからこそ手に取ってみたいのでしょう。花の名前は何だろうと関係ありません。園庭のみかんの木になる黄色な実を「あミカンだ!」と見てしまうと、不味そうだ、きっと酸っぱいだろうな。となってしまいますが、青い空に濃い緑の葉と黄色な実が美しいと見上げる子がいるとおもうのです。美しいものに言葉は似合いません。先日関市から長良に帰るとき、雨上がりの雲が金華山の南東部を這うように上がり、西の空に傾く赤い太陽に輝いてとても美しいと思いました。でもこのように言葉に書くと感じた美しさのホントに大部分が伝えられてないことがわかります。しかし、だからこそ万葉の時代から言葉を尽くして気持ちを、感動を伝えたいと詩人はうたを詠んだのでしょう。
画家は美しいものを感じたそのままを絵にして伝えようとしています。そんな当たり前のことがわからなかったのです。僕は小中学校で絵は写実的に描くものだと習い学んできました。ピカソなどの絵も知ってはいましたが自分の人間性の延長線上にあるのではなく、特別な意識の世界にあるのだと思い込んでいました。でもこどもたちの絵を見ていて同じ平面にあるのだと言うことに気付かされました。
そのことが僕が持っていた、シュールな絵へのこだわりを解いてくれました。慣れてくるとピカソが美しさを、楽しさを、悲しさを、うれしさを伝えていることに驚きます。誰でもが美しさを感じる種を持っているのですね。
ことばで上手く伝えることができないこと。それがダメでなく、だからこそ感性が育っているとは言えないでしょうか。大人が子どもと一緒に胸をときめかせる感性は特別なことでなくホンの日常にあるのでしょう。レイチェルはそのことを伝えたかったのかと思いますし、未知の遊びをみつける子どもの姿にあるのでしょう。

ながらこどもの森 空き状況

3号
認定

0歳児

×空なし

1歳児

×空なし

2歳児

×空なし

2号
認定

3歳児

×空なし

4歳児

×空なし

5歳児

◯空あり

1号
認定

3歳児

×空なし

4歳児

×空なし

5歳児

◯空あり

[8月8日現在]
詳しい空き状況は園までお問い合わせください。 毎月20日までに申込み、翌月1日からの入園。

お問い合わせ・ご相談

ながらこどもの森
TEL:058-231-8945
(受付時間/9:00~16:00)